3. Plan-Do-Seeだけでは、同じ過ちを何度も繰り返す!

「アスク総研」設立への想い(過去の30数年のコンサルタント経験からの学び)

前回は、顧客との協働で綿密なプロジェクトの構想を練ったとしても、本当の意味で「戦略実行のサポート」を行うには「時間」や「想い」といった解決困難な制約条件がある点に言及しました。

そもそも顧客と協働で練り上げた「戦略案」は、あくまでその時点での仮説にすぎません。
この仮説を検証するためには、実行しながら「なぜうまくいったのか」「なぜうまくいかなかったか」「他にもっと良い方法はないのだろうか」を振り返ったり、持論や前提を問い直したりといった、「現場での内省化」の作業が欠かせません。

つまり考えながら行動することが大切です。

内省とは、一般的に「起こった事実や自分自身が行った行為をじっくり振り返り、そこから窺える自分自身を見つめ直す作業」とされています。
単に「良くなかった点」を顧みる「反省」と異なり、内省は、自分のした言動(ここでは仕事)を客観的に振り返ることです。しかし、自分を客観視することは難しいものです。
他人との対話を通して振り返る方がふさわしいかもしれません。

自分が経験しているなかで(または経験したことの)意味を考え、前提や自分の持論を問い直すことで、自分の行為や態度を修正する行動こそ、「内省=リフレクション」の意味するところです。結果オーライ!であってはダメなんです。
自らの行為を自分の頭でよく考えて振り返り、そこでの経験からの学び(教訓)を次につなげていかないと成長はありません。

また、課題仮説を実行することによってそもそもの目的・目標を達成するためには、対話による内省化(リフレクション)以外にも以下のようなことが必要です。
・状況の見える化(効果測定と分析)
・リフレクション(対話による振り返り)
・新たな仮説づくり(教訓の引き出し)
・ポジティブフィードバック(新たな機会への適用)
上記をすべて行いながらまた、「状況の見える化」へとポジティブな反復修正作業を繰り返すこと、つまり経験の学習サイクルが欠かせません。

これを「アクション・ラーニングサイクル(経験からの学びのサイクル)」と言い、「Plan-Do-See」とはまた異なる概念です。

しかし、この経験学習サイクルを回したことのある経験者が、顧客・コンサルタントのどちらかにでも存在することは稀です。
そのため、戦略の実行は単に「Plan-Do-Seeを回せば良い」「そういう仕組みさえ作っておけば何とかなる」と考えている人々がほどんどです。

いくら立派な「管理・統制のための箱」ができても、組織やチームが主体的にアクションの背景、その根拠や意味を考えもしなかったらどうでしょう?
また、組織やチームで自発的に経験を振り返ることなく、声の大きい上司の掛け声にばかり敏感に反応しているとどうなるでしょう?
そこには活動の記録は残っても、経験による気づきや学びは生まれません。

単に、「目標達成出来たか否か(達成率の数値)」ばかりを気にしているようでは、経験を振り返り、そこから学びを引き出すこともなく、同じ過ちを幾度とな
く繰り返すことになるでしょう。

続く