今回は、「 The Learning Company 」についてご説明しましょう。
「 The Learning Company 」は、イギリスのマイク・ペドラー(Mike Pedler)、ジョン・バゴーン(John Burgoyne)、トム・ボイデル(Tom Boydell)によって研究開発された概念です。
私は30年程前に、英国のランカスター大学でこの概念モデルと出会いました。
それ以降、どのようにすれば実際の企業が「 The Learning Company 」に近づけるのかを探求してきました。
このコラムですでに取り上げたテーマにも、この『The Learning Company』に向けた活動領域が多く含まれています。
- 「経験学習サイクル」
- 世間で言われ始めた「創発的な戦略」(The Learning approach to Strategy)
- ビッグデータやAI技術の活かし方で問われている議論「情報技術のエンパワー化」(Informating)など
今の時代、企業の環境変化は複雑化し、成功法則も大きく変わってきています。
常に変化に適応し続けるためには、
- 「精度」よりも「鮮度」の高い情報による状況判断を優先すること
- 自らが経験学習を繰り返しながら変化し続けること
この二つが不可欠です。
企業内部のリーダー自身が「企業内コンサルタント」の役割を担い、各種分析手法やツールを駆使し、企業変革をリードする。
今後はそういったことが主流の時代になってもおかしくない、と私は考えております。
人と組織に学びを促し、企業内にイノベーションを引き起こすためには、前述の「水平的・垂直的エネルギーの流れ」が大切です。
それを生み出すためには、外部コンサルタントによる客観的なアドバイスを受けるだけではなく、内部リーダーによる「内部からのブレイクスルー」が必須です。
私は、「企業自らが『変わる力』をつけることなくして、永続的な真の改革はあり得ない」と考えています。
このために日々の生活から意識して取り組みたいことをまとめました。
それぞれ、今後このコラムで取り扱って行こうと思います。
- 仕事は人間と人間の情報交換である。他人に向かって説得する前にまず自分自身を説得(=納得)することが第一。納得のないところに説得はない!
- 「分からない」と言うな!! 3分間時間くれと言え!!
- 「だから・・・」「要するに・・・」は禁句! 他人のアイデア創出や学習を止めてしまう。
- 自分の使っている言葉の意味を責任もって使え! そして考え方の道筋も明確にせよ!
- 絵を描きながら考え、相手と共通の絵を媒体に対話・議論し、論理の混乱をほどけ! ワカルための道具として絵を描くことを習慣化せよ!
- 異質なもの同士の出会いの場、異質的な情報のぶつかり合いの場を出来るだけ多く設定せよ!
※英国は多異民族の集団のため価値観が多様化しサービスをマニュアル化できずサービスが悪いとの印象を感じる。
一方日本は同一民族によりニーズがシステム化できるが、その結果べき論(こうすれば~こうなるべきだ、こうなるはずだ)が人と組織の成長を妨げている。
あなたはどちらを選びますか? - 熱意を持ってムキになれない人間には変革はできないが、ムキになっている間は創造は生まれない。社員には自分の経験を振り返る(内省的な観察する)心のゆとりを!
- 外部環境に対しオープンにして企業内外に人と情報の流れを作ろう!
- 物事は単独では存在しない。多義的な対話を通して見えないものを見える化せよ!
- 物事は一発では片付かない。「理窟」(論理アプローチ)と「創発」(学習アプローチ)を相互作用的に解決に向けて繰り返せ!
- 「より強い」ものや「より賢い」ものが生き残るのではない。「より変化できる」ものだけが成長し続けるのだ!(”Good enough is not good enough”)
では、また次回。