10. 企業再生に必要な7つのこと

アスクメソッド

「企業再生」とは?

中堅・中小企業の「企業再生」というコトバを最近よく耳にします。

ひとことで「企業再生」といっても、大きく2つに分かれます。

  1. 投資ファンドや金融機関に委託する方法
  2. 自らのマンパワーで自律再生(経営自走化)する方法

財務状況によっては、事業の価値やリスクを調査して不採算事業の整理や売却といった抜本的な緊急対策も必要です。しかし、持続的に利益を創出できる可能性が残っている場合、可能な限り自力で企業再生したいと考えるのは当然でしょう。

アスクは、このような「事業の自走化」に強い思いを持つ中堅・中小企業に対し下記にような支援を行っています。

  1. 厳しい経営環境変化の中でも持続的に成長できる「知力+体力+組織活力=経営基盤(潜在力と独自性)の強化」
  2. 勝負できる事業ドメインを再定義し、そこに向けた「成長戦略の再構築」と「実行」のアドバイスや指導

なお、「実行」への取り組みは、出来るだけ多くの異なった観点から検討するようにしています。
なぜなら、問題がひとつの部門だけに生じていたとして、必ずしも解決が必要な部門がそこだけとは限らないからです。

では、「企業再生コンサルティング」と通常の「プロジェクトベースでの経営コンサルティング」との違いはなんでしょう?
私の定義としては、以下のように考えています。

プロジェクトベースでの経営コンサルティング

  • お客様のご要望や経営課題(個別テーマ)に対して、両社協同でプロジェクトチームを編成
  • 個々のコンサルタントが得意とする様々な手法、技法や専門ノウハウを活用して課題の解決につなげる=「インプット指向コンサルタント」
  • ITソリューションの選定と導入で問題の解消を目指す=「アウトプット指向コンサルタント」

企業再生コンサルティング

  • 企業が経営自走化できるよう、企業全体の観点から企業のニーズに沿って支援のやり方を変える。
  • 数値結果(Results)が全て=「マーケット指向コンサルタント

アスクの企業再生コンサルティング

アスクでは、を3つのステージに分けて企業再生コンサルティングを行っております。

  1. 事業経営の実態調査・分析と、「ありたい姿」から企業再生・成長への阻害要因を抽出します。
     これらをもとに経営改善の方向性(道筋)を探求し、経営トップと擦り合わせを行います。
  2. 経営改善の方向性に沿って、「攻め」(アウター)と「守り」(インナー)による相互補完的な取り組み課題を設定します。
     それを具体的な施策に落とし込み、時間軸上の実行シナリオに展開、アクションプランを作成します。
      「攻め」:新製品新規事業の探索、営業力の強化、ブランディング、などの領域
      「守り」:収益性改善プログラム、市場へ商品・サービスを送り出すビジネスシステム、組織デザインなどの領域
  3. 企業再生に向け、社員を育てながら業績を向上する進め方として、「経験学習」サイクルを効果的に回せるようサポートします。
    そこで具体的なアクションプランを作成し、下記の経験学習サイクルを回し始めます。(コラム:3回目)

    • 状況の見える化(効果測定と分析)
    • リフレクション(対話による振り返り)
    • 未来へ向けた新たな仮説づくり(持論の問い直しと教訓の引き出し)
    • ポジティブフィードバック(新たな機会への適用)

「企業再生」を妨げる大きなハードル

企業再生への取り組みの中で常に障害となるものがあります。
それは「企業の文化」、いやむしろ「経営者の姿勢」と言った方が良いかもしれません。

ほとんどの経営者は、経営改善により長期安定した事業運営を行っていきたいと主張します。
しかし、いざ具体的な経営改善の提言や、これまで経験したことのない打ち手の経営判断を迫られるとどうでしょう?
多くの場合、「人手不足・経験不足・既存組織の弱体」などを理由に、「とりあえず出来る範囲でやろうよ」というネガティブな反応を示します。

「何が何でも企業を再生するんだ!といった本当の覚悟が見られません。

本気で「企業再生」するために必要な7つのこと

本気で「企業再生」するは、なにが必要でしょうか?

  1. Will
     経営トップの企業再生への強い思いありたい姿
  2. Readiness
     経営トップ自らがこれまでのやり方に固執することなく、いかなる変化も勇気をもって受け入れる覚悟
  3. Ambidexterity
     経営改善に取り組んでいる中で、目先の利益(突然の営業引合いなど)にも動じない姿勢(*「両利きの経営」)
    *既存の資産と組織能力を「深化・有効活用」しながら、新規事業を「探索・開拓」する経営。(チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン共著/入山章栄監訳)
  4. Participative Policy-Making
     経営改善に対しマインド連携を持った全社参画型の取り組み
  5. Aggressiveness
     最初は経営改善の方法が分からなかったとしても、積極的に傾聴して理解しようとする(各メンバーの)積極性
  6. Leadership
     経営改善に向けた、経営トップ自らの自発的なリーダーシップ
  7. Learning climate
     学習風土の醸成(もう知っていると思った瞬間に学びは停滞する。変革は何かが終わること「終焉」から始まる)

企業再生に必要な7つのルールは、これらの頭文字をとって「WRAP-ALL」と覚えて頂くと分かりやすいかと思います。

次回は、アスクの企業再生の進め方について要点を説明したいと思います。