16. 企業ブランドの創発16. 企業ブランドの創発
今回はこの企業ブランドの創発について、アスク総研の取り組みを簡単に述べたいと思います。
顧客にとっての情緒的価値
自社ブランド力を強化するとは、商品・サービスをいかに売るかだけではありません。
「長きに渡って売れ続ける、愛され続けるようにする」ことでもあります。
高い商品機能や低価格、ハイクオリティのサービスといった観点から目先の「顧客満足度」を高めることも大切ですが、これだけで差別化を持続し続けることはできません。直ぐに真似されてしまいます。
そこだけに注力するのではなく、自社へのファンを増やすために顧客との「絆」をどのように強めていけばいいのか?新たに獲得した顧客からいかに「信用・愛着」され続けていくかを考えなければなりません。
顧客に感情的・情緒的に「いいね!」を連発させるような企業の提供価値、つまり「顧客にとっての情緒的価値とは何か」を探求し続けることでもあります。
主観を客観視する
取り組みとしては、まず自ら主観を客観視することから始めてみてはどうでしょう。
- 経営者の会社への強い思いは何か。
- 企業が5年後、10年後に目指したい姿は何か。
- これらを全社組織の隅々まで分かり易く伝え、これを浸透・体質化させる全社一貫した取り組みが行われているか。
- この結果として、消費者・顧客や利害関係者からは、あなたの会社は「さすが~らしい」と高く評価されるブランドイメージがあるか。
経営者の中には、「自社の従業員は真面目で、素直で、毎日一生懸命仕事に励んでいるから、この点(会社への忠誠心)は全く気にしなくて大丈夫」「自社の技術力は昔から定評があり自信もある」と井の中の蛙になっている方もいらっしゃるかもしれません。
主観的にはそうなのかもしれませんが、顧客にとっての情緒価値という観点からは、消費者・顧客から実際はどのように捉えられているのでしょうか?
ブランディングのセルフチェック
いま、下記の質問に向き合って、自社のブランディングについてセルフチェックしてみてください。
- 自社ブランドの理想として、消費者・顧客や利害関係者に「どう思われたい」「どのような感情を抱いてほしい」と考えていますか?
- 自社ブランドは、他社に比べてどのような個性(自社ならではの独自性)があると考えていますか?
- 自社ブランドの存在意義とターゲット像(こうありたい。なぜならば~だから)をどのようにイメージしていますか?
- 経営者は、自社ブランドのもつ意味・エッセンスを、どのように従業員に伝えていますか?
- 従業員は、自社のブランドのもつ意味を共通に解釈・共感していますか?
- 従業員は、自社のブランドを知らない外部の人に、どのような表現で伝えていますか?
- 組織や従業員は、自社ブランドのもつ行動規範(話し方、態度、考え方、振る舞い方)に一貫性をもっていますか?
自社に対するブランドイメージ・ギャップ
では次に、上記のセルフチェックの結果に対し、「現実は自社ブランド価値を高める行動がどこまで浸透・体質化しているか?」を検証してみます。
これは①~④をインタビュー調査することで検証することができるはずです。
- 経営者または経営幹部が持つブランドへの想いと、社内従業員の持つブランド・イメージやブランドへの想いとの間に、どのようなギャップがありますか?
- 従業員が持つブランド・イメージやブランドへの想いに、各部門・各拠点の従業員間で、どのようなギャップがありますか?
- 経営者または経営幹部が持つブランドの想いに対し、消費者・顧客・利害関係者の持つ企業ブランドイメージとの間にどのようなギャップがありますか?
- 消費者・顧客にとって、自社と競合他社とのブランドイメージの違いはどのように見られていますか?
自社ブランディングのセルフチェックと、外部の消費者・顧客からの自社に対するブランドイメージ・ギャップを分析することで、ブランディング活動を推進するうえでの問題点とブランド価値を高めるための課題を整理することが可能になります。